ゆるっと小児科医日記

地方の1年目小児科医、ゆるっと日記・メモを記していきます。

血友病について

最近、血友病のお子さんをみる機会があったので、今回は血友病についてです。

凝固障害が生じる先天性の病気で、出血がしやすくなります。運動する際に注意する必要もありますし、長期的には家庭での凝固因子補充も必要となるため、小児科医としても患者さんと長いお付き合いをする疾患です。

血液のキャラクター

1. 血友病の種類

まずは、血友病の種類についてです。

血友病A

・血液凝固第Ⅷ因子(FⅧ)を欠乏している

・X染色体連鎖劣性遺伝

・関節内出血、筋肉ない出血といった深部出血を好発

・重症度は、1%未満を重症、1-5%を中等症、5-40%を軽症と定義する。

血友病B

・血液凝固第Ⅸ陰性(FⅨ)を欠乏している

・特徴は血友病Aと同様

 

2. 検査

スクリーニング検査として血小板数、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)

→血小板数とPTは正常で、APTT延長のみを認めれば、FⅧ活性、FⅨ活性を測定する。

・FⅨはビタミンK依存性凝固因子であり、新生児期には健常児でも低値を示すため、生後6ヶ月以降に再検査する必要がある。

 

3. 治療

凝固陰性製剤の補充(血漿由来、遺伝子組み換え、半減期延長型製剤などがある)

例えば、血友病Bについては以下の製剤などが使用されます。

製剤:レフィキシア®︎(500, 1000, 2000)

    ペグ化遺伝子組み換え血液凝固第Ⅸ因子製剤

・定期的な投与

 40 IU/kg を週1回投与する。

・出血時の投与

 軽度〜中等度:40 IU/kg 状態に応じて追加投与

 重度: 80 IU/kg を投与する。

・手術時の投与

 小手術:40 IU/kgを投与する。

 大手術:80 IU/kgを投与するが、手術中の血中凝固第Ⅸ   

     因子活性が約100%に維持。

 

以上です。おつかれさまです。

喘息発作の強度判定

秋になって喘息の患者さんも増えてきました。

今日は喘息の中でも、強度判定、つまり小〜大発作のうちどれに該当するかの基準をまとめます(私が外来でみている時に、「あれ、どの分類になるんだっけ?」と思ったのでまとめます)。

上記は小児気管支喘息ガイドラインに記載されている分類表です。

主に主要症状によって分類され、最も重度のものがあれば、その分類と判定します。

主要症状については以下の通りです。

①症状:興奮状況、意識、会話、起座呼吸の4つ。興奮状態・意識不良・会話は1句ずつ途切れ途切れ・前かがみの呼吸姿勢があれば大発作。

②身体所見:喘鳴、陥没呼吸、チアノーゼの3つ。症状が明らかな重症であれば大発作

③SpO2:96%以上は小発作、92-95%は中発作、91%未満は大発作

 

また、参考所見として、PaCO2の値(41以上は大発作)、身体所見として呼気延長・呼吸数の増加などもあります。

 

きっとまだ喘息の小児は続くと思いますが、発作の分類をしっかりとつけ、治療を行っていきたいです。

小児の湿疹

今回は小児の湿疹についてまとめました。

その中でも、乳児湿疹と総称されるものについてです。

 

1.  乳児脂漏性皮膚炎 VS アトピー性皮膚炎(AD)

→どちらも乳児期の発症があり、鑑別が難しい場合も多いです。総称して乳児湿疹(infantile eczema)と総称されています。

 

関別が難しいのは、AD初期は顔面や頭頸部のみに湿疹がでている状態が多く、乳児脂漏性湿疹の皮疹出現部位と似ていることが多いためです。

その際の鑑別は、以下のようになります。

d/d:「掻痒感(かゆみ)の有無」

   「自然消退するか、慢性的な経過をとるか」

→かゆみがあり、慢性的な経過をとるのがAD

→問診・診察で痒みの有無を確認し、その後もフォローを続ける必要あり。

 

2.  アトピー性皮膚炎(AD)診断基準

上記のような鑑別のポイントは、ADの診断基準の特徴の有無で判断しています。

①掻痒感

②慢性的な経過(乳児は2ヶ月以上)

③皮膚の臨床的特徴所見

・耳の中や前後・耳介下部の紅斑、痂皮、亀裂

・頬や前額の凸部

・顔面に1ヶ月ほど遅れて体幹部、四肢にも症状が出現

・四肢関節屈側部の所見

つまり、かゆくて2ヶ月以上続いている湿疹をみたら疑いが強まります。

また、家族歴(アトピー素因)がある場合も疑いが強まります。

 

3.  乳児脂漏性皮膚炎

では、乳児脂漏性皮膚炎の特徴はどうなのかということですが。

乳児、特に新生児では母体由来の性ホルモンの残存があります。加えて、生後3-4ヶ月まで自身で(特に男児)テストステロン分泌を盛んに行われています。そのため、性ホルモン支配を受けている皮脂腺から皮脂が多く分泌されています。そして皮脂中のトリグリセリドが皮膚常在菌により分解されて、分解産物である遊離脂肪酸が皮膚にざ瘡用変化や刺激性皮膚炎を起こすためとも言われています。

 

以上です。今回の参考は以下の書籍です。

 

 

 

過敏性腸症候群(IBS)について

今回は、小児の心身症(心理・社会因子の大きく関与した身体の病気)の一種であり、腹痛や腹部不快感が数ヶ月の単位で継続する疾患、過敏性腸症候群(IBS)です。

1. IBSの特徴

機能的疾患であり、排便の状況で症状が変化することが特徴です。また、ストレスとの関係も深いです。学校でも、テスト前や部活の大会前などにお腹の調子が悪くなる同級生もいましたよね。

2. IBSの原因

 基本的には原因不明です。しかし、自律神経を介した腸と脳の神経経路の異常、腸脳相関があると言われています。これは、ストレスがかかると、下垂体でストレス関連ホルモンを産生し、それが腸管神経系に作用することが原因です。

 

3. IBSの診断基準

 診断基準は、Rome Ⅳによるものがあります。腹痛の1ヶ月での頻度、排便での変化、便秘治療で改善があるか、そのほかの疾患が否定されているか...という感じです。結構大雑把な基準でありますが、必ず他の疾患の否定が必要であり、安易な診断は行わないことが推奨されています。

4. IBSの分類

 次は、IBSのサブタイプ分類についてです。

便通は一定せず、臍部を中心とする腹痛が生じるタイプはRAP型。

便秘症状の強い便秘型。

起床後すぐに下痢の生じ、排便でも症状が軽快しない下痢型。

おならや腹鳴、腹部膨満感などガス症状に対する恐怖や不安を訴えるガス型。

などの分類があります。便秘型や下痢型に関しては、一般の便秘・下痢治療と同一で問題ありません。RAP型に関しては、ポリカルボフィルカルシウム(ポリフル®️、コロネル®︎)、抗コリン薬(ブスコパン®️)などが有効です。ポリカルボフィルカルシウムに関してはは、IBSで広く使用されています。

5. IBSの非薬物治療

 薬物以外では、基本的には生活習慣の改善は必要です。そのほか、サブタイプに応じた治療があります。

RAP型・下痢型→乳製品や冷たいもの、カフェイン、高脂肪食など腸管運動を更新させる食品を控える。

便秘型→便が固くならないように、水分摂取をすすめる。

ガス型→ガスの貯留しやすい野菜(玉ねぎ、芋類など)、炭酸飲料、ガム、果物などを控える。

 

以上です。お疲れ様でした。

神モチベーション「やる気」しだいで人生は思い通り

何か、勉強にせよ仕事にせよ、やる気が出なくて困るなあという時もありますよね。

私も、本当にやらないといけないことから目を背けて、部屋の掃除をしたり、気分転換にテレビをみてしまったりしてしまいます。

この本では、やる気を出すための方法がまとめられています。

 

1. ギャップモチベーション

 本書で推奨されているやる気の出し方は、ギャップモチベーションという方法です。過去の成功体験があった時、自分がどんな努力をした結果で成功があったのかを思い出す「過去記憶」からつくるギャップのやる気。そして、「こうなりたい!」という未来をイメージしてそれと現在のギャップにより、こんな努力をしなければいけないと考える「未来記憶」からのギャップによるやる気をつくる方法です。

 この方法で必要なのは、失敗の経験数です。過去記憶にせよ未来記憶にせよ、成功にたどりつくまで何をしたかが重要となります。しかし、努力をしても必ず報われるわけではなく、正しい努力を行うことで成功へと繋がります。その正しい努力の方向性を知るには、失敗を経験することも必要です。長い時間をかけての失敗、人生を左右する場面での失敗は大きなダメージとなってしまいますが、その前の普段のなんでもない場面で失敗をすることはむしろ良い経験です。日常での失敗を恐れて何もしないと、失敗という経験さえもすることができずに、いつか大きな挑戦をする場面で失敗してしまうかもしれません。失敗は正しい努力の方向性を知るための訓練と思い、日常から小さなチャレンジをすることが大切なのだとわかります。

 

2. チャンスをみつける方法

 次に、挑戦するためのチャンスを見つける方法です。何か挑戦したいけど、自分の前にはチャンスがこないんだ..。と引きこもっていては、今の自分と何も変わりません。ここで重要なのがチャンスを見つける力です。

 普段の生活で、例えば雨が降ってきた日。雨やだな...。靴が濡れちゃったな..と思うのではなく、雨に濡れて普段と違う景色で綺麗だな、靴は濡れたけど思っていたより少しで済んでよかったなど、プラスの方向で捉えることで、自分の性格もプラス思考となっていきます。マイナス思考では、チャンスが転がっていても気づく機会が減ってしまいます。プラス思考で考える練習は、チャンスをつかむ練習でもあるのです。

 

3. 挑戦を決めた時にすること

 それでは、もし挑戦したいとやる気が出た後、どうすればやる気を継続できるかの方法です。それは目標の具体化です。私たちの脳は、曖昧ことに対して考えることが苦手です。それは、次に何をすればよいのか、脳も指令を出すことができないからです。できるだけ具体的に目標を設定することで、次に何をすればよいのかわかります。

 例えば、南の島に今年中にいきたい!という目標では、どこにいくか、いつ行くかも曖昧な設定なので、お金の準備、予定の準備も立てることができず、何の準備もできません。そのため、行動に移せないうちにあっという間に1年が過ぎてしまいます。だから、今年の12月10日にハワイに行く!というふうに、目標の時間と詳細な内容を決めることで、その前後の予定を開けるようにしたり、その時期のハワイにいくための予定をネットで調べて貯金しよう、そのためには普段の生活の無駄遣いをへらさないと、何をしようか...というふうに、次々と行動を脳が考えていくのです。

 

4. 努力を苦労しなくなるには

 頑張って挑戦し、成功した後の行動。このときの行動でも、今後のやる気を引き出すことができるか決まっていきます。それは、結果ではなく努力の経過を喜ぶことです。

成功の結果を喜ぶと、結果が出ない努力を行うことが億劫になってしまいます。これは、先述した、小さな挑戦による失敗の機会損失となってしまいます。

 しかし、あの努力の方法が良かったから今成功したんだ、と思うことができれば、それは良い喜び方です。努力ができたことを自分が喜ぶことができれば、たとえ次の挑戦

で成功という結果が得られなくても、正しい努力ができたこと自体を喜び、また次の挑戦に向かうことができます。努力を認めることは、負け惜しみや言い訳ではなく、努力しつづけるために必要なことです。またこの時、わざとらしいくらい感情をこめて自分の努力を誉めることができると、感情記憶に残り、ギャップモチベーションのきっかけとなります。

などなどのためになる内容だらけです。

また後で、残りの内容もまとめてみます。

 

 

小児の徐脈

今回は、前回の頻脈に引き続き、徐脈についてをまとめます。



1. 小児の徐脈の特徴・治療の流れ

意識障害のある徐脈は「重症」
・覚醒している小児が徐脈となることは少なく、心停止も迫る不穏な兆候

<治療の流れ>

・大まかな徐脈治療の流れをまとめます。

①まずは酸素投与・人工呼吸
②  ①を実施後もHR 60/分未満
  人工呼吸+胸骨圧迫
   ↓  無効
  アドレナリン注0.01% 
   ※房室ブロックにはアトロピン投与
2分ごとに脈拍チェック 

 NCPR(新生児蘇生法)のように、まずは酸素投与・人工呼吸を優先する点が、成人のACLS・BLSとは異なる点ですね。

 

2. 酸素投与・人工呼吸について

・多くの徐脈はこれで改善する。
・2分間しっかりと酸素投与・人工呼吸をおこなってから次のステップに。

酸素リザーバー:10L/min
吸引チューブ
気管挿管道具準備

 

3. 徐脈の薬物治療

①アドレナリン注 0.1%®︎
0.1%製剤をNSで10倍希釈して使用`(0.01%製剤に)。
0.1mL/kg 静脈内or骨髄内  

最大:1mg/回
4分ごとに使用 
※原液(0.1%):0.1mL/kg 気管内でも可

 

②アトロピン 0.02mg/kg
【適応】房室ブロック
アトロピン1mL(0.5mg)をNS4mlで希釈:0.1mg/1mL
0.2mL/kg投与(0.1mL=0.01mg)

最大2回まで投与可

 

以上です。

 

小児の頻脈

今回は、小児の頻脈について特徴と治療法です。心臓検診のイラスト(学校の健康診断)

1. 頻脈の種類

①洞性頻脈

・QRS 0.09秒以下
・出血、脱水、敗血症、アナフィラキシーの原因となるエピソード
・P波が存在、正常
・RR時間は変動、PR時間は一定
・啼泣や刺激で心拍数が変わる
・乳児で心拍数220/分未満、小児で心拍数180/分未満

②発作生上質性頻拍(PSVT)

・QRS 0.09秒以下
・突発的な動悸の既往
・P波が存在しない、異常
・啼泣や刺激で心拍数が変わらない
・乳児で心拍数220/分以上、小児で心拍数180/分以上

心室頻拍

・QRS 0.09秒より長い
電解質異常(高K、低Ca、低Mg)、先天性心疾患、心筋炎、冠動脈の先天性異常による心筋虚血、心臓手術、薬物中毒など
・QT延長症候群からのTorsades de Pointes(多形性心室頻拍)は、硫酸Mgが有効であるが、ATPや同期電気ショックは無効
・脈を触れない場合、CPAとともに非同期電気ショックが必要となる

 

2. 頻脈の治療

①発作性上質性頻拍(PSVT)の治療

⑴ice bag法:顔を冷やすなどの迷走神経刺激、息こらえ(10秒ほど口と鼻を塞ぐ)

⑵アデノシン三リン酸 ATP:トリノシンS注®️
10mg/2mL(5mg/mL), 20mg/2mL(10mg/mL)
 0.1 mg/kg/回(最大6mg)急速静注

※ATP投与直後にNS5mlでフラッシュする。三方活栓を用意しておく。
※2分以内に効果なければ0.2mg/kg/回で。さらに0.05mg/kg/回ずつ増量可能。
【禁忌】気管支喘息、虚血性心疾患

 

心室頻拍の治療

⑴ATP:PSVTと同じ
⑵同期電気ショック
意識障害を伴うPSVTや心室頻拍が適応
  0.5-1 J/k/回
※無効ならば2J/kg まで増量可

⑶Torsades de pointesの停止と急性期再発予防
硫酸Mg:30-40mg/kg、最大2g、5-10分で静注
持続する場合、0.05-0.3mg/kg/分の持続点滴

 

以上です。