ゆるっと小児科医日記

地方の1年目小児科医、ゆるっと日記・メモを記していきます。

小児糖尿病の治療

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 コロナが流行してから、生活の制限を多く受けたのは学校に通っている子どもたちです。登校も分散登校になったり、部活動・クラブ活動の制限も受けていました。

 その中で、子供たちの運動不足により、糖尿病を目にする機会が増えた気がします。少数ではありますが、私が診た患者さんも、コロナでの部活動制限をきっかけに運動不足・食事摂取量の増加が問題となっていました。

 

1. 糖尿病の治療ステップ

 小児の糖尿病を診察する際、学校検尿で指摘されて受診するケースが多いです。

まずは血液検査などの初期検査を行うことになりますが、その後どのように治療を行っていけば良いか、まとめてみました。

Step1:
無症状、空腹時血糖(FBS)130mg/dL未満、食後血糖180mg/dL未満、HbA1c 7%未満の場合は食事運動療法で。

Step2:Step1失敗
メトホルミン:250mg×3/day(500-1000mg/dayで開始)
・メトホルミン単独で4ヶ月以内にHbA1c7%未満を達成できなければインスリンが必要となる。

Step3:外来での定期検査 or DKAなどで受診時
ケトーシス、FBS250以上、HbA1c 9%以上、または多飲多尿の症状が強ければ、メトホルミンと共にインスリンが必要となる。

持効型インスリン (トレシーバ®️ or ランタス®️) 0.2単位/kg/day
※実際は0.1-0.3単位/kgであるが、最初は糖毒性解除のために0.1より多めに0.2単位/kgくらい使った方が良い。所要量は0.4-0.5単位/kgとなっても良い。

・時効型のみでは難しい場合、速効型インスリン(ノボラピッド®️・ヒューマログ®️)を使用する。こちらも0.1-0.3単位/kg/dayで使用。速効型と持効型を併用する治療を「強化インスリン療法=基礎-追加インスリン療法」という。

 

2. 検査項目・評価法について

 糖尿病を見る際には、血糖値・HbA1cは大事な項目ですが、そのほかにも、患者さんの今の体格の評価(肥満度)、食事療法で考えるべき1日のカロリー量(推定エネルギー量)、現在インスリンが十分出ているか(残存膵機能)、インスリンが出ていても効果があるのか(インスリン抵抗性)についての確認も行う必要があります。

■肥満度
肥満度=(実測体重-標準体重)/標準体重×100(%)
・肥満度20%以上を軽度肥満、30%以上を中等度、50%以上を高度肥満とする。

 
■推定エネルギー量
推定エネルギー必要量=基礎代謝量(kcal/day)×身体活動レベル+エネルギー蓄積量(kcal/day)
基礎代謝量(kcal/kg/day) 、身体活動レベル、エネルギー蓄積量(kcal/day)については年齢・性別により異なるので、調べる必要があります。
 
■残存膵β細胞機能
●IRI:immunoreactive insulin(血中インスリン値)
・空腹時の基準範囲は5-15 μIU/mL。DMではIRIは基本的に低値を示す。1型では基礎値において低く、2型では糖負荷で初めて低値が明らかになることが多い。
●血中Cペプチド値(CPR)
インスリン分泌が保たれていれば、空腹時血中CPR0.5 ng/mL以上。血中CPRは病期が進むと低値となる。
●尿中Cペプチド値(CPR)
・24時間蓄尿中CPRは、基礎分泌を含めたインスリン分泌能の評価に適している。20 μg/day以下であればインスリン分泌の著明な低下。
●HOMA-β(インスリン分泌)=360×空腹時IRI(μU/mL)÷(空腹時BS-63)
・40-60%が正常、15%以下は明らかなインスリンの欠乏、10%未満はインスリン分泌能の廃絶を示す。
 

インスリン抵抗性
●空腹時IRI(血中インスリン値)
・小児では明確な基準はないが、空腹時IRIが15μU/mL以上をインスリン抵抗性あり。
●HOMA-IR(インスリン抵抗性)=空腹時BS(mg/dL)×空腹時IRI(μU/mL)÷405
・正常は1.6以下、2.5以上でインスリン抵抗性あり。
●CPR index(相対的インスリン欠乏)=空腹時血中CPR÷空腹時BS×100
・1.2以上の場合は食事や経口薬治療、0.8未満の場合はインスリン療法を選択するなどの判断材料になる。

 

以上です。